• アクセス
  • 会社案内
  • 最終更新日
 

ホーム > 専門書 > リーディングス 日本の社会福祉 第5巻

リーディングス 日本の社会福祉 第5巻

リーディングス 日本の社会福祉 第5巻

社会福祉の権利と思想

 

リーディングス 日本の社会福祉 第5巻

カタログPDF

監修

岩田正美

編著者

秋元美世 編著

巻数

全1巻

体裁

A5判・上製カバー・平均400頁

本体 3,800円+税
ISBN 978-4-284-30348-4
刊行年

2010年06月刊

社会福祉を包括的に捉え直し、
新しい視点から見詰めなおすために――
好評シリーズ遂に完結

 
アマゾンco.jp
honto
紀伊国屋書店
三省堂書店
MARUZEN JUNKUDOネットストア
e-hon
セブンネットショッピング
楽天
Honya Club.com
 

特 色

日本の社会福祉分野における研究蓄積の中から、重要論稿を精選・収録。社会福祉分野で初の本格的なリーディングスシリーズの登場。

社会福祉のこれまでのあり方を広い視野で捉え直すために、対象年代は戦後から現代(1945〜2008年)までを中心に設定。

今後の社会福祉研究を考察するうえで必須となる論文を各編者がテーマごとに選択。冒頭には各編者による「序論」を附し、テーマに関する概説とともに論文選定のねらいを明示。各巻ごとに独自の視点で社会福祉の系譜を読み解く。

巻末「文献目録」には、収録論文や「序論」で言及した論文、およびその巻の領域に即した論文を収録し、テーマの全体像を見渡すことが可能。

内容構成

リーディングス 日本の社会福祉 第5巻 『社会福祉の権利と思想』(秋元美世編著)
No. 論 文 名 著 者 刊行
第1部 社会福祉の権利―基本的理論
1 生存権理念の展望 小林直樹 1961
2 生存権は物盗りではない 戒能通孝 1965
3 社会福祉と人権の尊重―それをリップ・サービスに終らせてはならぬ 嶋田啓一郎 1969
4 社会福祉における処遇と人権 仲村優一 1969
5 人権、社会事業および社会政策 ピエール・ラロック・藤井良治訳 1972
6 社会福祉における人権の思想 谷昌恒 1973
7 社会福祉と基本的人権 岡村重夫 1990
第2部 福祉権をめぐる訴訟と運動
8 朝日訴訟の展開とその意義 小川政亮 1968
9 堀木訴訟と朝日訴訟 長宏 1987
10 生存権と朝日訴訟 長谷川正安 1967
11 アメリカにおける福祉権運動の動向(?) 定藤丈弘 1975
12 国際的視野からみた福祉と人権―イギリスにおける福祉権をめぐる論議を中心として 冷水豊 1978
13 サーヴィス行政における権利と決定―生活保護行政を素材として 下山瑛二 1976
14 福祉サービスにおける市民参加と「人権」保障―アメリカ経済機会法第二章“Community Action Program”を素材として 橋本宏子 1985
第3部 個別福祉分野における権利の問題
15 児童福祉における「子どもの権利」再考―子どもの権利条約の視点から 許斐有 1991
16 “実践的子どもの権利学”への道―子どもの権利規範の歴史的な形成過程をたどる 喜多明人 2002
17 老人と人権 中川晶輝 1991
18 高齢者、「障害者」の人権と日本の課題―国際高齢者年を契機に 井上 英夫 2000
19 人権の歴史的展開と人権の規範的構造 中村睦男 2002
20 障害者の権利思想と運動の軌跡―ADA成立に向けて 関川芳孝 2002
第4部 社会福祉の権利についての新しい展開
21 社会福祉における権利意識―その欠如の実態と問題点 佐藤進 1980
22 侵害原理、モラリズム、パターナリズムと自律 中村直美 1998
23 ノーマライゼーションとケアの倫理学 塩野谷 祐一 1996
24 成年後見制度と自己決定 眤 浩 1996
25 基本的人権の今日的意味―自己決定権とプライバシーの権利 笹倉秀夫 1997
26 人権保障の現代的課題と福祉専門職の責務 福田垂穂 1997
27 権利擁護法とアドボカシー 河野正輝 1997
28 福祉契約の特質と課題をめぐって 秋元美世 2002

刊行のことば

岩田正美(日本女子大学教授)
 わが国で社会福祉の研究を志す人々は、年々増えている。同時に、他の学問分野にとっても社会福祉の現実世界は研究対象としての魅力を増してきているようである。それは、社会福祉が、良くも悪くも、現代社会というものを等身大で映し出す鏡のようなものであり、その中に矛盾に満ちた現実も、それを突破しようとする希望も、共に見いだすことが出来るからではなかろうか。
 とはいえ、そうした社会福祉の性格からか、社会福祉研究には、他の分野以上に「流行」に流される傾向があり、介護に焦点が置かれれば、皆がそちらを向く、といった側面がやや強かったように思う。しかも、その「新しさ」は、社会問題の趨勢ばかりでなく、国の社会福祉政策の動向に強く影響を受け、その方針に従って、研究の有り様も変化していくというような面があったことは否めない。また、外国の「新しい理論」に弱い、という特徴も持っている。このため、新たな政策動向や、諸学国の新しい理論を、いち早くキャッチすることには長けていても、それらの変化を貫いて見いだされる本質や、日本の特質を、実証と理論の双方から深く掘り下げ、そこから大胆に時代を切り開いていくような社会福祉の方向を提示することにおいては、やや問題があった。
 本シリーズは、社会福祉の若い研究者たちが、以上のような社会福祉研究分野の弱点を克服していくために、日本の社会福祉研究の戦後の蓄積を改めて振り返り、それらを系統立って学び直すことをねらいとした。ただし「系統立って」というのは、必ずしも教科書的な意味ではなく、それぞれの巻で工夫がある。また、この領域設定は、狭義の福祉よりやや広く他の学問分野からの関心をも吸収するようなものとなっている。社会福祉研究を志す人々が、本シリーズを十分活用されることを願っている。

推薦のことば

温故知新の好機
古川孝順(東洋大学教授)

 温故知新という言葉がある。もとより周知の言葉であるが、此度日本図書センターの快挙に出会い、改めてわが国における社会福祉学研究のあり方を考えさせられている。今回の企画は第二次世界大戦前後から現今に至るわが国社会福祉学研究のエッセンスを一冊に集めようというものである。社会福祉学が8分野に分かたれ、それぞれの領域ごとに研究の軌跡を辿れるように論稿が蒐集されている。論稿の選択についてはあるいは異論も出るかもしれない。しかし、それはそれで良しとしたい。論考の選び方から各巻の編集に責任をもった人びとの社会福祉学研究にたいするスタンス、視点、枠組みの違いが透けて見えてこようというものである。そうだとすれば、各冊を広げる読者の興趣は一度ならずである。今、こう書きながら、私は故吉田久一教授の言葉を想い起こしている。社会福祉の思想史・理論史研究の開拓者として知られる吉田教授は、「社会福祉では先行研究を大切にしない、思いつきの議論が多い。だから学問として深まらない」、しばしばこう言って嘆かれていた。この企画は、そのような吉田教授の溜め息に応えるにまたとない好機を提供するものである。これからの日本の社会福祉学研究を支える研究者たちに、そしてこれから社会福祉学の研究に志そうとする若い世代の諸君に、吉田教授の溜め息を乗り越える新たな研究の展開を期待したいのである。私は、そのことを願いつつ、この好企画を推薦したい。

社会福祉学の到達点を一望する
武川正吾(東京大学教授)

 今日の社会で“福祉”は“平和”や“環境”とともに最も多くの人びとから支持を集めている理念である。それは国の内外を問わない。ネオリベラリズム(新自由主義)の影響で、米国などでは“福祉”の原語であるウェルフェアには否定的な響きが伴うこともあるが、その米国でも“福祉”に対応するもう一つの語であるウェルビーングは、肯定的に受け止められている。
 “福祉”は多くの人びとからの賛同を得られる理念ではあるのだが、それを実現するための手段については、人びとのあいだで大きく意見が分かれることが少なくない。この点も“平和”や“環境”の場合と同じである。
 現在の日本社会には“福祉”という価値の実現を阻む課題が山積している。貧困や失業に苦しむ人びとは少なくないし、ホームレスの生活を余儀なくされている人びとの数も少なくない。弱い立場にある人びとが、社会的に孤立したり虐待の被害者となるケースもある。子ども、高齢者、障害を持つ人などが、必要なケアを受けられないこともある。
 いま私たちに求められているのは“福祉”という価値を実現するための制度や政策のありかたについての合意形成であろう。そうしたなかで本シリーズはまことに時宜を得た企画である。日本の社会福祉学は、実践と政策の架橋を強調するところにその特徴があるが、そうした日本の社会福祉学の到達点をこのリーディングスによって一望することができるからである。

「社会的なもの」―その両義性をとらえるために
市野川容孝(東京大学教授)

 単に「福祉」でも意味が通じるのに、なぜ私たちは「社会」福祉と言うのか。「ソーシャル・ワーク」の「ソーシャル」とは、あるいは「社会事業」「社会政策」「社会保障」の「社会」とは、どういう意味なのか。ドイツやフランスでは「社会的な国家」と言うのが普通なのに、なぜ私たちは「福祉国家」という日本語しか知らないのか―。言うべきことは多々あるが、本企画名にも「社会」の二文字が刻まれ続けていることは大切だと思う。
 社会契約論と言えば、ホッブズ、ロック、ルソーがと覚えさせられるのが常だが、ホッブズやロックが単に「契約」としか言わなかったのに対して、ルソーが初めて「社会的な契約」と言い、その契約によって「人間は体力や精神については不平等でありうるが、約束によって、また権利によってすべて平等になる」と宣言した。ただし、国家のために市民は死ぬべきであり、共通の価値に背を向ける者は容赦なく迫害せよ、という言葉とともにである。平等を求めつつも、いや平等を求めるがゆえにこそ、発生してしまう過剰な統合と画一化の暴力。私たちは、その間をすり抜けることができるのか。
 「社会的なもの」のそのような両義性。あるいは、この理念が日本語では「福祉」や「厚生」という言葉の背景に押しやられ、見えづらくなっていった経緯。そのようなことを、本リーディングスの精読を通じて、あらためて批判的に考えてみたいと思う。

▲ページトップへ  戻る