• アクセス
  • 会社案内
  • 最終更新日
 

ホーム > 学術資料 > 福祉 > 戦後日本貧困問題基本文献集 第II期

戦後日本貧困問題基本文献集 第II期

戦後日本貧困問題基本文献集 第II期

 

戦後日本貧困問題基本文献集 第II期

カタログPDF 内容見本

監修

杉村 宏 (北海道大学名誉教授・法政大学名誉教授)

巻数

全10巻

体裁

A5判・上製・総約4,100頁

本体 揃:120,000円+税
ISBN 978-4-284-30625-6
刊行年

2013年04月刊

戦後刊行された「貧困」を扱った多数の文献の中から、貧困問題の研究をする上で必須となる基本文献のみに限定して復刻。
1945年から1980年代までに刊行された文献を収録対象とする。
◇おすすめ先
社会福祉・社会事業史・公的扶助・社会保障・労働・経済・社会学研究者、大学・公共図書館、専門図書館など

 
アマゾンco.jp
honto
紀伊国屋書店
三省堂書店
MARUZEN JUNKUDOネットストア
e-hon
セブンネットショッピング
楽天
Honya Club.com
 

特 色

I 戦後の「貧困問題」に関する文献をはじめて集成!
戦後に刊行された「貧困」を扱った多数の文献の中から、「貧困問題」の研究・調査をする上で必須となる基本文献に限定して精選・復刻。現在につながる流れを展望する。

II 戦後から現代に刊行された文献を全II期で構成!
1945年から1980年代までに刊行された文献を収録対象とし、第I期では、「最低生活費論」「貧困研究の方法」「失業と貧困」などのテーマに関わる文献を収集。第II期の主要なテーマは、「貧困と社会保障」「貧困と公的扶助」「貧困と社会福祉」など。

III 多様な視点から「貧困」の実態に迫る!
貧困地区で生活する人々、低賃金労働者の実態を知ることができるルポルタージュや、福祉事務所・高齢者施設に勤める人々の現場の声をまとめた報告なども含んだ幅広い内容。

IV 貧困に関わるテーマごとに文献を収録!
「最低生活費論」「農漁村の貧困」「失業と貧困」「貧困と公的扶助」「不安定就労者の貧困」「都市底辺の貧困」など、各テーマに則した文献を精選! 社会福祉だけではなく、経済・社会学など異なる領域の学問分野からアプローチが可能。

V 全II期収録文献についての「解説」付き!
第II期最終巻には、監修の杉村宏による「解説」を付す。戦後の貧困研究において、収録文献がどのような役割を果したのか。時代背景をたどりながら解説。

各巻構成

第1巻 貧困研究の方法『現代の「低所得層」上 「貧困」研究の方法』江口英一 未来社1979-80
第2巻 貧困と社会保障1『現代の貧困と社会保障』高野史郎 編 汐文社1970
第3巻 貧困と社会保障2『貧困・生活不安と社会保障』小倉襄二・真田是 編 法律文化社1979
第4巻 貧困と公的扶助1『公的扶助論』篭山 京 光生館1978
第5巻 貧困と公的扶助2『いのちの重みを背負って 福祉事務所現業員白書 福祉事務所現業員白書編集委員会 編 公的扶助研究全国連絡会1981
第6巻 貧困と社会福祉『扶助と福祉』(現代社会保障叢書 4) 小川政亮 編 至誠堂1973
第7巻 不安定就労者の貧困『現代日本における不安定就業労働者 上・下(全2巻)加藤佑治 御茶の水書房1980-82
第8巻 日本の貧困地域『日本の貧困地帯 上・下』(全2巻)堀江正規 編 新日本出版社1969
第9巻 都市底辺の貧困『山谷 失業の現代的意味』江口英一・西岡幸泰・加藤佑治 編著未来社1979
第10巻 農村の貧困『戦後日本における貧困層の創出過程』篭山 京 東京大学出版会1976

刊行のことば

『戦後日本貧困問題基本文献集』の刊行にあたって
 杉村 宏 (北海道大学名誉教授・法政大学名誉教授)

 本文献集刊行の目的は、戦後日本社会の貧困問題の特徴と課題を歴史的に考察することにある。戦後から今日までの60年間に刊行された貧困問題に関する多数の文献から、貧困問題の調査・研究にとって重要な基本文献を復刻することによって、今後の社会保障・社会福祉研究に資することを意図している。
 これまでに日本図書センターから、社会保障・社会福祉の制度に関するものと社会福祉実践方法に関わる基本文献集が刊行されているが、本文献集は社会保障・社会福祉の対象に関わる文献を収録するものである。
 この文献集では1945年から1980年代までに刊行された文献を収録対象とし、第I期は1945年から1959年までのものを扱い、1960年以降のものを第II期で扱う。貧困研究は、調査研究による実態解明と貧困を緩和・改善するための実践や政策に関わる研究であるから、貧困問題の基本文献としては本来は文献の背景となる膨大な調査研究資料も含むものであるが、その収集は他日を期し、本文献集は図書文献に限定している。
 敗戦直後の日本の山河は、戦災で家や財産、家族までも失った貧困者の大群で満ち溢れていた。都市では職場や住居を失った失業者、引揚者、罹災者などとその家族が、文字通りホームレス状態でその日を生き延びる努力をせざるを得ない状況にあった。また就業人口の過半数が暮らしていた農山漁村は、戦火で荒廃した田畑・山林や海や川での就業の困難に加えて、都市の失業者・半失業者を受け入れるプールの役割を担わされたため、戦前と変わらない深刻な貧困問題を引き続き抱えていた。
 このような困難な状況の中から、政府主導の経済成長政策によってではあったが目覚ましい復興を遂げ、1960年代には大量生産・大量消費社会を実現するにいたった。国民の消費水準は飛躍的に上昇したが、同時に非正規雇用分野が拡大し、ローンやクレジットによる多重債務が社会問題化するようになった。人々の暮らしの不安定化が課題として浮上し、「不安定=低所得・貧困」階層という「見えにくい貧困」層が拡大するという複雑な社会経済の発展のしかたをした。しかしその後の労働組合活動をはじめとする社会運動や住民運動等の発展が、社会保障・社会福祉の拡充を通じて貧困問題の緩和・改善をはかる上で一定の影響力を発揮したし、国民生活の状態を解明し社会保障・社会福祉の課題を探求するための調査研究も深められた。
 したがって今日の貧困は、敗戦直後の貧困問題を彷彿とさせるような面を持ちながらも、戦後の日本社会の発展や課題を反映した現代的特徴を有している。それを解明し新たな調査研究の展望を開くために、今こそ「温故知新」の故事にならって戦後期の貧困問題研究に学ぶ必要がある。
 貧困問題が改めて現代的課題として私たちの前に立ちはだかっている今こそ、先学の蓄積した業績に学び、貧困研究を前進させ改善させるための実践に貢献できるよう、本文献集が一人でも多くの人に活用されることを祈念している。

推薦のことば

過去の格闘からの照射の先
青木 紀
(名寄市立大学学長)
 それなりに理解が進んでいるとはいえ、人びとの貧困に関する認識はあいまいである。それは貧困にはない人も、貧困にある人の場合もそうだ。とくに、飢餓線上にある貧困や過去の貧困を思い出すとき、私たちの脳は「現代の貧困」をどのように捉えているのだろうか。
 実際、しばしば貧困率というタームも新聞等で使われるようになり、この不景気のなか「貧困女子」なる言葉もあるようだが、そのことと貧困の理解の深度とはパラレルだろうか。研究者の論文を読んでも、数値だけだと大丈夫かな、と私自身がそう思うのだから、一般には推して知るべきである。このことに研究者や評論家などは自覚的であるべきだ。
 だが、あらためて歴史を振り返れば、そんな思いは昔からあったことにも気がつく。この国でも、明治期から「探訪記」「貧困調査」はあったし、今回復刻・復刊される「戦後日本貧困問題基本文献集」を見ても、それらはすべて当時の貧困の実態・実体を具体的に捉え、かつ科学的に計測しようという格闘の記録でもある。このこと自体が、上記の意味を裏付けているようにも思う。
 今日の貧困を「私たちの貧困」と捉え、その解決を社会的に図るということまでに結びつけて行くには、複数の高いハードルが横たわっている。そんなとき、私たち自らが、もう一度先人たちの過去の格闘を振り返るのも重要だ。歴史から現代を照射するとき、現代の私たちがつかむものは大きいはずである。


日本の貧困研究を再検証するために
岩田正美
(日本女子大学教授)
 近年日本において貧困に関する文献はきわめて多く出版されるようになったが、日本の貧困研究、あるいはルポルタージュの黄金期は、敗戦後から一九六〇年代前半あたりまでといってよい。
 この時期は、単にその出版量が多かったというだけでなく、まず日本独自の社会階層論や生活構造論と結びついた貧困研究がさかんになされたという特徴がある。これらは、現在はほぼ忘れられており、外国に範をとることが少なくないが、日本の研究蓄積についても、もう一度見直してみる価値が十分ある。
 またルポルタージュについては、さまざまな「底辺」シリーズが生み出された時期である。これは今述べた社会階層とも関わって、具体的な地域や労働のあり方と貧困の結びつきを生き生きと描写している。貧困はたんに「貧困率」だけの問題ではなく、そこに生きている人々の絶望や困苦と関わっていることがよく理解されよう。
 『戦後日本貧困問題基本文献集』は、この黄金期を含めた戦後の貧困文献ですでに人手しにくいものなどを収録したものであり、現在貧困に深く関心を寄せている方々にとって、役にたつものとなろう。また、生活研究、家計研究として見ることが出来る文献も多く収録されているので、その関係者にとっても朗報と思う。


貧困問題を考えるための重要文献群
橘木俊詔
(同志社大学教授)
 太平洋戦争による日本経済の破壊により、戦中と戦後の一時期の日本人の大半が貧困に苦しんだ。この時期は食べることのできない人の数が多く、生活保護支給を受けた人の数も多かった。それがなんと経済大国になった現代においても貧困という理由で生活保護支給を受けている人の数が、戦後のそれを上まわっているという貧困大国の日本になってしまった。貧困克服が大きな経済問題となっている現在において、過去の貧困がどうであったのか、あるいは昔の貧困は今の貧困とどう異なるのかを知ることは重要なテーマである。それに回答を示してくれる書物が、この文献集である。
 戦後の貧困時代を終え、経済復興時期を経て高度経済成長時代に入ると、貧困問題は社会から消えてしまったような印象が強まった。経済学においても経済成長論に最大の関心が向けられるようになった。しかし実態を言えば、国民は貧困から脱却したのではなく、まだ多くの人は生活苦にあえいでいた。経済学、社会政策の専門家による当時の貧困を分析した成果によって、読者は実態がどうであったかを知ることができる。経済理論に立脚した分析、統計を用いた実証研究、地域、職場、家庭の中に入り込んでのルポタージュ報告など、様々な分析手法による成果に接することができる。
 日本経済は安定成長期後、バブル崩壊を経て長期の不況期の中にあり、貧困が深刻な問題になっていることは皆の知るところとなった。貧困を考えるときに重要な資料となる文献集から多くを学びたいものである。

▲ページトップへ  戻る