• アクセス
  • 会社案内
  • 最終更新日
 

ホーム > 学術資料 > 教育 > 近現代史 > 福祉 > 近代日本 幼児教育基本文献集 第III期 戦前・戦時下の保育

近代日本 幼児教育基本文献集 第III期 戦前・戦時下の保育

近代日本 幼児教育基本文献集 第III期 戦前・戦時下の保育

 

近代日本 幼児教育基本文献集 第III期 戦前・戦時下の保育

カタログPDF 内容見本

監修

湯川嘉津美(上智大学教授)

解説

湯川嘉津美

巻数

全8巻・別冊1

体裁

A5判・上製・布クロス装・総約3200頁(予定)

本体 揃:120,000円+税
ISBN 978-4-284-30858-8
刊行年

2019年05月刊

幼児教育のあゆみを研究するための決定版。
稀覯本を含む基礎文献・史料集の全III期が堂々の完結となります。
また、今期は湯川嘉津美教授による書下ろし「近代日本幼児教育基本文献集 解説」が、別冊で附されております。

〈おすすめ先〉
幼児教育史・保育学・教育学・児童福祉・家族社会学などの研究者/大学図書館・公共図書館など

 
紀伊国屋書店
 

特 色

幼保一体化・一元化、幼児教育の無償化、幼小の連携・接続など、子どもをめぐる保育の在り方が切実に問われるいま、その歴史とこれからを理解するため、草創期からの幼児教育の基礎文献を一挙収録した、幼児教育研究における決定版、文献集です。

監修の湯川嘉津美が永年にわたり蒐集、研究してきた幼児教育における一級資料を多数復刻、解説。乳幼児期から一貫した子どもの教育を考えるため、幼児教育、保育学研究者はもちろん、広く教育にかかわる方々に最適の基礎文献・資料です。

湯川嘉津美による、包括的な「近代日本幼児教育基本文献集 解説」を第III期に附しました。

第I期「幼稚園の誕生と普及」.第II期「幼稚園から小学校へ」、第III期「戦前・戦時下の保育」とし、日本の幼児教育の成立を、時系列を追いつつテーマごとに網羅しました。
第I期「幼稚園の誕生と普及」全8巻 ISBN978-4-284-30840-3
主な内容:黎明期の幼稚園/幼児保育法/幼稚園の全国的普及/フレーベル研究とフレーベル会/保育内容の改革/幼稚園令(2017年5月刊行)
第II期「幼稚園から小学校へ」全8巻 ISBN978-4-284-30849-6
主な内容:幼稚園における実践/幼稚園改革/低学年教育/幼稚園令以降/「保育学」の構築(2018年4月刊行)
第III期「戦前・戦時下の保育」全8巻・別冊1 ISBN978-4-284-30858-8
主な内容:保育大会/戦時下の保育/国民保育/戦時保育所(2019年5月刊行)

各期定価(本体:120,000円+税)
全III期・全24巻・別冊1・総約9,000頁・揃定価(揃本体360,000円+税)

各巻構成

 収録内容一覧

【新刊】第III期 全8巻・別冊1 戦前・戦時下の保育

17巻 全国規模の保育大会 1

多大な期待を担って、1915年から1941年まで8回にわたって開催された全国幼稚園関係者大会。本巻には全8回の大会の経緯と協議内容を、おもに『幼児の教育』掲載の23の記事、論述から再構成する「全国幼稚園関係者大会関連史料」を収録。また『全国幼稚園関係者大会記録』は、第一回大会の講演、プログラム、会員名簿、報告、談話などを網羅。

全国幼稚園関係者大会関連史料

論考・史料名

著者/掲載誌名

発行年月

全国幼稚園関係者大会

『婦人と子ども』第15巻第4

1915(大正4)年4

全国幼稚園関係者大会

『婦人と子ども』第15巻第7

1915(大正4)年7

幼児教育夏期講習会

将に来らんとする全国幼稚園関係者大会 充実したる実質的効果を所期す

全国幼稚園関係者大会に出席して

大村芳樹/『幼児の教育』第15巻第10

1915(大正4)年10

フレーベルと現代思潮 第二回全国幼稚園関係者大会に於ける講演の大要

小西重直/『幼児の教育』第19巻第11

1919(大正8)年11

第二回全国幼稚園関係者大会の記

てい子/『幼児の教育』第19巻第11

生活か教育か 第二回全国幼稚園関係者大会に於ける講演大要

倉橋惣三/『幼児の教育』第19巻第12

1919(大正8)年12

第三回全国幼稚園関係者大会〔「会報」抜粋〕

『幼児教育』第21巻第6

1921(大正10)年6

第四回全国幼稚園関係者大会

『幼児の教育』第24巻第7

1924(大正13)年11

第四回全国幼稚園関係者大会状況の御報告

市川みち/『幼児の教育』第24巻第7

第五回全国幼稚園関係者大会 主催 名古屋市保育会

『幼児の教育』第31巻第11

1931(昭和6)年11

幼児の心情陶冶についての経験 第五回全国幼稚園関係者大会に於ける研究発表

笠井しげの/『幼児の教育』第31巻第11

幼児に適切なる唱歌の材料 第五回全国幼稚園関係者大会に於ける研究発表

大阪市保育会/『幼児の教育』第31巻第11

第六回全国幼稚園関係者大会出席の所感

大塚喜一/『幼児の教育』第35巻第4

1935(昭和10)年4

第六回全国幼稚園関係者大会記

『幼児の教育』第35巻第5

1935(昭和10)年5

第七回全国幼稚園関係者仙台大会 併せて、皇紀二千六百年大会と恒常的全国幼稚園機関の設置につき

倉橋惣/『幼児の教育』第39巻第10

1939(昭和14)年10

全国幼稚園関係者大会会場〔口絵〕

『幼児の教育』第39巻第11

1939(昭和14)年11

第七回全国幼稚園関係者大会記録

倉橋生/『幼児の教育』第39巻第12

1939(昭和14)年12

第七回全国幼稚園関係者大会議案

『幼児の教育』第39巻第12

第七回全国幼稚園関係者大会

仙台市保育会/『幼児の教育』第39巻第12

第八回全国幼稚園関係者大会報告

『幼児の教育』407

1940(昭和15)年7

第八回全国幼稚園関係者大会委員建議

『幼児の教育』第41巻第2

1941(昭和16)年2

第八回全国幼稚園関係者大会協議題報告 国民学校令実施ノ際国民学校トノ連絡上保育ニ関シ留意スベキ事項

協議題第一項委員一同/『幼児の教育』第41巻第2


全国幼稚園関係者大会記録(大正5年3月) 

    …… 文部省普通学務局 1916(大正5)年

 

 

18巻 全国規模の保育大会 2

本巻には、1935年3月に大阪市で開催された第六回幼稚園関係者大会の記録を収録した。京都市保育会による同大会の提出題意見発表をまとめた小冊子も併録する。

第六回全国幼稚園関係者大会提出題意見発表(昭和10年3月)

    …… 京都市保育会 1935(昭和10)年

第六回全国幼稚園関係者大会誌

    …… 第六回全国幼稚園関係者大会 1936(昭和11)年

 

 

19巻 全国規模の保育大会 3

1930年代には帝国教育会や全日本保育連盟主催による全国規模の教育・保育大会が開催され、幼稚園・託児所の普及・発達策のほか、幼保一元化や幼稚園教育義務制を含む幼児教育制度改革についての審議がなされた。

本巻には、帝国教育会、全日本保育連盟が主催した保育大会史料をまとめる。『幼稚園保育を国民義務教育の根幹たらしめよ』は、幼稚園教育の義務化を求めた全日本保育連盟が、貴衆両院の議員に配布した貴重なパンフレット。

全国教育大会幼児教育部会

    …… 『全国教育大会概況』 帝国教育会より 1929(昭和4)年

全国保育大会〔「大会状況」等〕

    …… 『幼児の教育』3012号 1930(昭和5)年12

全国保育大会概況報告(昭和六年二月)

    …… 帝国教育会 1931(昭和6)年

学制改革案 調査報告

…… 帝国教育会 1933(昭和8)年

全日本保育大会誌

    …… 全日本保育連盟・大阪毎日新聞社会事業団 1938(昭和13)年

幼稚園保育を国民義務教育の根幹たらしめよ

    …… 全日本保育連盟 1941(昭和16)年

 

 

20巻 国民保育 1

「初学者の入門書」を目指した本書は、「保育者の常識として必要な講義」として、当時における保育方法、内容、経営、そして保育史を知る格好の史料となっている。

国民保育要義

…… 内山憲尚 東洋図書 1941(昭和16)年

 

 

21巻 国民保育 2

保育を科学的に検討するため、1936年に発足した保育問題研究会による成果報告集。

城戸幡太郎、三木安正、浦辺史ら、戦後の保育を牽引する錚々たるメンバーによる重要論考には、その後の日本の保育の種子が胚胎していた。

国民保育のために

    …… 保育問題研究会(編) 帝国教育会出版部 1942(昭和17)年

 

 

22巻 戦時下の保育 1

1935年刊行の『系統的保育案の実際』を改訂した『改訂版 系統的保育案の実際』は、時局の変化に対応した保育内容の刷新を企図したもので、戦時下の幼稚園教育のあり方が示されている。さらに、東京女子高等師範学校附属幼稚園主事・倉橋惣三による『国民学校と国民幼稚園』と、奈良女子高等師範学校附属幼稚園主事であった小川正通「幼稚園保育の刷新に就て」からは、戦時下の「国民幼稚園」論の全体像が概観できる。ほかに幼稚園、保育者養成の実践面での史料として、『改訂 幼稚園保育要目』と『保育実習指導書』も収録。

改訂版 系統的保育案の実際

    …… 東京女子高等師範学校附属幼稚園(編) 日本幼稚園協会 1941(昭和16)年

国民学校と国民幼稚園

    …… 倉橋惣三(述) 日本幼稚園協会 1941(昭和16)年

改訂 幼稚園保育要目

……岡山市幼稚園保育研究会 1944(昭和19)年

保育実習指導書

…… 中等学校教科書  1944(昭和19)年

幼稚園保育の刷新に就て 国民幼稚園の建設

    …… 小川正通 1942(昭和17)年

 

 

23巻 戦時下の保育 2

『育児報国展集抄』は、母子保護法一周年を記念して、1939年3月に大阪梅田阪急百貨店で開催された保育展覧会をまとめた貴重な史料。雑誌『保育』をリードしていた西村真琴らの手による。『幼児の遊びと指導』は、厳しい戦況下であっても、幼児の遊びの指導の重要性を体系的に論述した重要な書。著者の一人、功刀よし子は戦後、ヘファナンの通訳を務め、幼児教育改革にも貢献した。

育児報国展集抄 母よ強かれ!

    …… 全日本保育連盟 1939(昭和14)年

保育教材 幼児の遊びと指導

    …… 関猛・功刀よし子 照林堂書店 1944(昭和19)年

 

 

24巻 戦時下の保育 3

母子保護から、食糧増産と戦時動員へとその目的を変容させた、農村における保育所の状況をうかがうことができる『農繁期保育所の在り方と保育の実際』。また保育所における手引書である『戦時保育所』からは、戦争末期にいたる厳しい環境で苦闘する保育関係者への強い思いが伝わる。

農繁期保育所の在り方と保育の実際

    …… 大日本母子愛育会 1944(昭和19)年

戦時保育所 保姆と挺身隊への手引

    …… 川崎大治 学習社 1945(昭和20)年

 

 

【既刊】

I期 全8巻 幼稚園の誕生と普及

1巻 草創期の幼稚園

京都柳池小学校の概則は、ドイツの幼稚園をモデルにした日本最初の幼児教育施設の規則で、たいへん貴重なもの。また本巻には、東京女子師範学校附属幼稚園の初期規則を網羅。『幼稚園創立法』は、関信三が文部大輔・田中不二麿に提出した原本を収録。草創期の幼稚園が、簡潔な文書からよみがえる!

幼稚遊嬉場概則 上京第三十区

……京都柳池小学校 1875(明治8)年

東京女子師範学校附属幼稚園規則(仮定)

……1876(明治9)年

東京女子師範学校附属幼稚園規則(明治一〇年)

……1877(明治10)年

東京女子師範学校附属幼稚園規則(明治一一年)

……1878(明治11)年

東京女子師範学校規則第七章「幼稚園規則」(明治一四年)

……1881(明治14)年

東京女子師範学校附属幼稚園規則(明治一七年)

……1884(明治17)年

高等師範学校附属幼稚園規則(明治二三年)

……1890(明治23)年

女子高等師範学校附属幼稚園規則(明治二四年)

……1891(明治24)年

女子高等師範学校附属幼稚園分室仮規則(明治二五年)

……1892(明治25)年

女子高等師範学校附属幼稚園規則(明治二六年)

……1894(明治26)年

東京女子師範学校附属幼稚園保姆練習科規則

……1878(明治11)年

(以上、東京女子師範学校)

幼稚園創立法

……関信三 1878(明治11)年

幼稚園保育法

……東京女子師範学校 1885(明治18)年

 

 

第2巻 幼児保育法

本巻では明治から大正にかけて発行された、中村五六、東基吉、和田實による幼児保育法に関するテキストを収録。ことに東の教科書はたいへん貴重。

保育法

……中村五六 国民教育社 1906(明治39)年

保育法教科書

……東基吉 目黒書店 1910(明治43)年

幼児保育法(大正2年)

……和田實 大阪市北区保育会 1913(大正2)年

 

 

第3巻 幼稚園の普及

日本全国に幼稚園をつくることは容易ではなかった。谷口政徳は『家庭教育 幼稚園』において、地域や家庭での幼児教育を提唱。市橋虎之助『幼稚園の欠点』は、普及しつつあった幼稚園批判の最初期のもの。

幼稚園案内

……日柳喬(編) 小田末(校閲) 浪華文会 1884(明治17)年

家庭教育 幼稚園(通俗教育全書第一編)

……谷口政徳 博文館 1890(明治23)年

幼稚園の欠点

……市橋虎之助 金港堂 1902(明治35)年

 

 

第4巻 フレーベル研究

幼稚園設立にフレーベルの適切な理解は不可欠だった。本巻には、小西信八、東基吉、倉橋惣三ら幼稚園関係者による本格的な研究を収録。倉橋『フレーベル』は、貴重な刊行時の原本をはじめて収録。

普列伯氏略伝

……小西信八 普及舎 1893(明治26)年

フレーベル氏教育論(教育学書解説第七)

……東基吉(解説) 育成会 1900(明治33)年

フレーベル(大教育家文庫第二〇)

……倉橋惣三 岩波書店 1939(昭和14)年

 

 

第5巻 フレーベル会の結成

後に日本幼稚園協会となるフレーベル会の、結成時の活動を知る基礎資料。総会での演説や保育方法の実験談、調査研究報告などを掲載。1899(明治32)年にフレーベル会が文部大臣宛に提出した「幼稚園制度ニ関スル建議書」も収録されている。

フレーベル会第三年報告

……フレーベル会 1899(明治32)年

フレーベル会第四年報告

……フレーベル会 1900(明治33)年

 

 

第6巻・第7巻 保育内容改革1 2

明治後期から大正期にかけて、欧米の新教育理論に学びながら、遊びを中心とする保育が目ざされるようになり、アメリカの幼稚園カリキュラムの紹介やモンテッソーリ教育法の導入もなされた。『幼稚園唱歌』には、今も親しまれる東基吉・くめ、滝廉太郎らの楽曲を多数収録。

幼稚園唱歌

……共益商社書店 1901(明治34)年

女子高等師範学校附属幼稚園保育要項

……女子高等師範学校附属幼稚園 1906(明治39)年

幼稚園遊戯

……フレーベル会 1907(明治40)年

米国幼稚園保育細目

……岸辺福雄 1916(大正5)年

幼児保育の手段としてのお話

……倉橋惣三(述) 日本幼稚園協会(編) 『幼児に聞かせるお話』内田老鶴圃より 1920(大正9)年

モンテッソリー教育法真髄

……河野清丸 北文館 1915(大正4)年

 

 

第8巻 幼稚園令

1926(大正15)年に幼稚園令が制定され、日本の幼稚園の制度的地位が確立する。本巻には、時代を画する幼稚園令制定期の史料を集成。『新令解釈 幼稚園研究』には、日本の幼稚園制度とその沿革が詳述されており、この時期を知る格好の手がかりとなるだろう。

各国幼稚園教育制度

……文部省 1925(大正14)年

全国幼稚園ニ関スル調査(大正一四年一二月)

……文部省 1925(大正14)年

幼稚園令制定に関する意見書

……全国連合保育会 1925(大正14)年

全国保育代表者協議会概況

『帝国教育』五一六号八月号 1925(大正14)年

新令解釈 幼稚園研究(附:全国幼稚園一覧名簿)

……帝国教育会編 文化書房 1926(大正15)年

 

 

 

II期 全8巻 幼稚園から小学校へ

9巻 幼稚園における実践1

東京府女子師範学校の附属小学校の主事を務め、附属幼稚園の教育や保姆養成にも携わった木下一雄による、実践的保育学の試みをまとめた『幼稚園実際的保育学』を収録。

幼稚園実際的保育学

……木下一雄 東京保姆専修学校出版部 1930(昭和5)年

幼稚園教育の意義/保育法/幼稚園養護論/実際保育論/幼稚園経営論

 

 

10巻 幼稚園における実践2

10巻に収めた『幼稚園の経営』では、奈良女子高等師範学校附属幼稚園主事の森川正雄が、幼稚園令施行後の幼稚園経営のあり方や幼児教育の原理と実践、米国における最新の幼稚園教育などを包括的に論ずる。

幼稚園の経営

……森川正雄 東洋図書 1931(昭和6)年

幼稚園経営概論/幼児の真生活/保育の真髄/家庭との連絡/訓練要目/保育要目/米国公立幼稚園保育要目例/幼稚園の標準設備/幼稚園時間配当方/保育上の難問題の解決/託児場/幼児の個性調査

 

 

11巻 幼稚園改革の動向1

20世紀初頭の欧米の幼児教育は、フレーベル主義の批判と再評価、幼児の保護と教育を目的とする保育学校の設立など、幼稚園改革が進んでいた。そうした欧米の最新の幼児教育事情を、東京女子高等師範学校教授兼附属幼稚園主事の堀七蔵が詳述。

欧米の幼稚園及低学年教育の実際

……堀七蔵 昭々閣書房 1930(昭和5)年

欧米の家庭生活/家庭生活の成立/救世軍婦人ホーム/ナースの養成/カロデンストレートの公立幼稚学校/英国の幼稚園/ナーセリー・スクール/英国幼児教育の概観/独逸の教育/米国の教育/ボストンの幼稚園/ロスアンゼルスの幼稚園

 

 

12巻 幼稚園改革の動向2

小学校教育の進展に比べると、幼稚園における幼児教育の展開はまだまだ不十分である……。東京女子高等師範学校附属幼稚園における試みと実践の記録、『幼稚園保育の諸問題』を収録。

幼稚園保育の諸問題

……堀七蔵 東洋図書 1934(昭和9)年

幼稚園の目的/保育時間に関する問題/幼稚園の設置/幼稚園の経営/保姆の養成機関/幼児の身体的保護/幼児の唱歌遊戯/観察のさせ方/各月の観察/小学校入学

 

 

13巻 幼稚園改革の動向3

アメリカにおける代表的な幼稚園指導者ヒルによる、幼小連携カリキュラム(コンダクト・カリキュラム)を翻訳によって紹介。明石女子師範学校附属幼稚園や東京女子師範学校附属幼稚園などではコンダクトカリキュラムに学びながら、新しい幼稚園カリキュラムが作成されていった。

幼稚園及び低学年の行為課程

……PS・ヒル(編) 高森富士(訳) ランバス女学院出版部 1936(昭和11)年

学校の状況/原理、方法、組織/子供の思考、感情、及び行為の向上を促す課程の代表的活動/子供の作業と進歩の記録/進級の標準

 

 

14巻 低学年教育の改革

『低学年教育 遊戯の学習化』は、東京府女子師範学校訓導・守屋貫秀による低学年教育論。幼小の連絡を前提に低学年教育を「遊戯の学習化」と捉えた議論を展開。峰地光重らが提起した「疑問」も併録する。

『生活単位の低学年教育』は、「生活指導としての低学年教育」をかかげ、新教科課程の構成を目指した島津新治による、低学年教育の実践の記録。教師中心から児童中心の学校教育への変遷を伝える。

低学年教育 遊戯の学習化

……守屋貫秀 郁文書院 1930(昭和5)年

幼児期教育の基礎原理/本能生活の心理学的考察/「遊戯の学習化」論叢/尋一教育の具体相

生活単位の低学年教育

……島津新治 郁文書院 1930(昭和5)年

更生への低学年教育/生活指導の意義/低学年児童の生活姿態/低学年生活学習指導の目的/生活指導と其の教材/生活単位の題材と国定教科書の取扱い/低学年生活学習指導と其の方法/低学年生活指導としての学習場/実際指導〔尋一、七月までを収録〕

 

 

15巻 幼稚園令後の動き

1934年から翌年にかけて、香川県女子師範学校附属幼稚園が夏期に実施した終日保育の克明な記録、『終日幼稚園』。それは幼稚園令の精神を生かし、幼稚園に保育所機能を導入するために行われた実践研究の成果である。『観察の実際』は、幼稚園令において新たに保育内容に加えられた「観察」について、東京女子高等師範学校附属幼稚園が行った実践をまとめる。当時の「観察」の実情が生き生きと伝わる。

終日幼稚園

……香川県女子師範学校附属幼稚園 1935(昭和10)年

終日幼稚園の提唱/終日幼稚園施設環境(午睡室、幼児のプールなど)/終日幼稚園の実況(自由遊びのさまざま、お風呂遊び、間食スケッチ、海ヘ!海へ!、家庭のご感想)/終日幼稚園の経営(実習生プラン、生活誘導日案、日帰り移動保育実案)

観察の実際

……日本幼稚園協会 1938(昭和13)年

年少組 第一保育期(なづな、藤の花、軍艦)/第二保育期(豆の種蒔き、芋堀り、庭仕事)/第三保育期(立春、お雛様、兵器)/年長組 第一保育期(武者人形、かたばみ)/第二保育期(鳴く虫の類、衣更え)/第三保育期(外国の国旗、お彼岸、ひばり)

 

 

16巻 保育学の構築

岩波講座『教育科学』所収の倉橋惣三「就学前の教育」を収録。倉橋による多くの著述は、保姆を対象に行った講演をまとめ直したものが多く、論文として書かれたものは意外に少ない。この時期の倉橋の幼児教育論を端的に知ることができる。昭和に入ると、体系的な「保育学」が日本でも構築されていく。『保育学(全)』は、保育界の代表的な指導者・和田実による保育学書。『実験保育学』と併せて、和田の保育理論を理解するために欠かせない一冊。

就学前の教育

……倉橋惣三 『岩波講座 教育科学第1冊』より 1931(昭和6)年

就学前教育への留意/就学前教育機関の創始/就学前教育の新展開/我国の就学前教育/就学前教育の新趣向/就学前教育の本義/就学前教育と家庭

保育学(全)

……和田実 日本保育館 1943(昭和18)年

総論(一般教育の方法と幼児教育、幼児教育に於ける誘導的方法)/訓育的誘導論/遊嬉的教育論/幼稚園論

刊行のことば

湯川嘉津美
 今日、幼保の一体化・一元化、幼児教育の無償化、幼小の連携・接続、保育者養成、幼児教育の質保証をめぐって、さまざまな議論がなされ、具体的な取り組みも進められている。しかし、歴史をふり返れば、それは幼稚園創設期から常に課題とされ、解決に向けた議論や努力が積み重ねられてきた問題であり、現在なお課題として残されているものであることがわかる。
 『近代日本幼児教育基本文献集』全III期・全24巻・別冊1では、歴史的な立場から日本の幼児教育を問い直すために必要な史資料を、III期に分けて刊行する。
第I期「幼稚園の誕生と普及」全8巻では、幼稚園の創設から幼稚園令による制度の確立までを対象に、明治期の幼稚園規則から幼児保育法のテキスト、保育内容改革やフレーベル会、幼稚園令に関する史料など、一般には手に入りにくい貴重史料を網羅している。
 第II期「幼稚園から小学校へ」全8巻では、幼稚園と小学校との連絡問題に焦点をあて、とくに欧米の幼稚園・小学校低学年教育の動向や昭和初期の小学校低学年改革に関する文献を集めた。これらを通覧すれば、昭和初期の幼小の連絡問題とその取り組みの実相を知ることができるだろう。
第III期「戦前・戦時下の保育」全8巻・別冊1では、昭和戦前期から戦時下の保育について、全国規模の保育大会や戦時下の保育実践、国民幼稚園論など、この時期の保育界の動きがわかる文献を取り上げた。戦時下の保育界の制度改革要求の中には幼保一元化や幼児教育の義務化、保育者養成の制度化の提案など、戦後の幼児教育改革に繋がるものが多く含まれており、その検討は戦後の幼児教育を考える上でも重要である。
本文献集が、これまでの日本の幼児教育を確かな史料に基づいて見直し、新たな幼児教育像を構築する一助となることを期待したい。
(ゆかわ かつみ・上智大学教授)

推薦のことば

近代幼児教育の歩みを集成
宍戸健夫
 歴史的な文献・資料は歴史的研究にとどまらず、現代を知るうえでも必要です。また将来を展望するためにも、欠かすことはできません。しかし、そうした文献・資料は時代とともに散逸し、手に入りにくくなってゆきます。とくに幼児教育分野についていえば、それは一層難しくなっています。そうした状況のなかで、このたび『近代日本幼児教育基本文献集』全III期・全24巻が編集・刊行されることになりました。おおいに歓迎したいとおもいます。
 これまでにも、保育関係の歴史的な文献集がないではありません。しかし収録文献は限られており、十分ではありませんでした。この『近代日本幼児教育基本文献集』は、関信三、小西信八、中村五六、東基吉、和田實、倉橋惣三、森川正雄、堀七蔵など、幼児教育の先駆者たちの貴重本が収録されているばかりではなく、東京女子師範学校附属幼稚園の各規則をはじめ、幼稚園令制定時の関係文書など、今までになかった広範囲の史料をも収録しているところに、特徴があります。また、幼稚園と小学校との連携に関わるものや、戦時下の保育問題に関わる文献も多数含まれています。いずれも入手困難なものばかりで、魅力的な文献集になっており、これからの研究に新しい視座を提供してくれるものと期待しています。
 どうかみなさん本文献集を活用され、これからの幼児教育の歴史研究をいっそう活発なものとして下さい。それによって、日本の将来にむけての幼児教育研究が、制度的にも内容的にも進展することを願ってやみません。
(ししど たけお・幼児教育史学会前会長/愛知県立大学名誉教授)


保育・幼児教育の実践と思索の豊かな共有財産
太田素子
 いま保育・幼児教育は大切な局面を迎えています。国策として国民すべての「活躍」と「働き方改革」が推奨され、本格的に男女共同参画社会へむけたシステムへの転換が加速され始めました。男女共同参画社会の先達である北欧やフランスのように、子どもが乳幼児期から一貫した保育・学校教育を享受して成長してゆくシステムが実現するまで、保育をめぐる不安定な状況は克服されないと予想されます。
 いっぽう家族構成員一人ひとりが直面する生活と仕事上の課題が個別性・独立性を増すなかで、かつての時代のような親族ネットワークや近隣の共同体が、子どもの人格形成を支える機能を喪失しています。幼稚園や保育所など保育施設が継承してきた子育て文化は、各家庭の子育てを支える社会的な共通基盤として、いまとりわけ重要な役割を担うことになっています。
 アメリカのノーベル経済学賞受賞者、ヘックマンが「就学前に適切な教育環境を与えられない場合には就学後に学習意欲を高めることは難しく、教育投資の効果は限定的なものになる」という考え方を提唱したことが話題になりました。日本では保育・幼児教育の実践と思索は豊かな歴史と経験を蓄積していますが、問題はそれが僅かに保育関係者の共有財産にとどまり、社会一般の理解につながっていないことだろうと思います。
 本文献集は、近代日本保育制度史研究の第一人者が長年にわたって収集した重要な稀覯本を集成しています。制度政策決定に関与した、全国幼稚園関係者大会など、保育関係団体の動向に目配りし、また学校教育と幼児教育の関係史も位置付けた貴重な文献集です。保育研究者にとって基本史料となることはもとより、広く近代日本の女性と家族の歴史、福祉と教育、社会政策史に関心を持つ研究者の利用を期待致します。
(おおた もとこ・幼児教育史学会会長/和光大学教授)

▲ページトップへ  戻る